コービーへ ~私が愛したスーパースターは~ [コービー関係]
あなたとの出会いは、偶然だった。
いつだったかははっきりとは思い出せない。おそらく2001年頃かな。テレビをつけたら、NBAのトップ10プレー集をやっていて、連続でランクインしていたのが、あなた。
コービー・ブライアントという名前は、それ以前からなぜか知っていた。実際に姿やプレーを見たのは、そのランキングの時が初めてだったはず。
私は一瞬で心を奪われた。
実は私は最初、コービーが191センチのPGだと勘違いをしていた。どうしてかはわからないけど。
ランクインしていたプレーは、どちらもダンク。
私は、191センチのPGがゲーム中にダンクをするのを見て驚いたと同時に、単純にカッコいいと思った。
それ以来、たまにBS放送でやっていた『コービーのチーム』の試合を見るようになり、ビデオテープに録画をするようになって、繰り返し繰り返し、何度もあなたのプレーを見た。
あなたが、198センチのシューティングガードのプレーヤーだったことも知った(笑)
そんな私だけど、実はあなたのファンになりたての頃は、他の選手にも興味を持っていた。具体的には2選手。
一人は、2000台前半、オーランドで背番号1番を付けていた、あなたと同じポジションのプレーヤー。(ペニー・ハーダウェイではない)
もう一人は、2003年に鳴り物入りで入団した高卒ルーキーで、203センチの身長で、PGポジションで最初の年はプレーしていた人。
その人は、『よく知ってるチーム』で、現在も現役としてプレーしていますね。
最初はミーハーだった私だけど、2003年の夏のある出来事をきっかけに、あなたが私の“オンリーワン”となる。
それは、あなたが巻き込まれた、“コロラドでの一件”。
私にとってはショックだったし、世間的にも衝撃だったと思う。
私には親友がいて、その親友もNBAに興味があり、そいつはクリス・ウェバーのファンだった。
そいつは私がコービーのファンだったことを知っているし、コロラドでの一件のことで、私は散々からかわれた。
私は、『単なる浮気』と、擁護になってるのか、なっていないのかよくわからん反論をしていたけど。
加えて、当時はインターネットも普及しておらず、NBAの情報を得るのは、BS放送を見るか、某日本のNBA雑誌を見るくらいしか手段はなかった。
私は毎月2種類の雑誌を買って読んでいたけど、当時はコービーに対して批判的な論調が多かった。
私が応援している選手は、みんなに嫌われているのだと思った。
ならば、せめて私は、何があってもコービーを応援し続けよう。
批判がなに?
コービーはコートで結果を出すはず。
たとえ、世界中の人があなたを嫌いでも、私だけでも、あなたのファンであり続けよう。
まだ若かった私は、そう誓った。
私の人生、選択ミスだらけなんだけど(笑)
その判断だけは正しかったと、胸を張って言える。
その後のあなたと、レイカーズの躍進と活躍は、ご存知の方も多いだろうし、あえてここでは書かないでおきましょう。
書きたいことは山ほどあるんだけど、長くなりすぎるから(笑)
だけど、盛者必衰。
長く、しかも繰り返しあなたのプレーを見てきた私には、ケガの影響もあっただろうけど、10~11シーズンからは既に衰えてきているのがわかった。
それでも勝利の為に必死にプレーするあなたから目が離せなかった。どれだけ勇気を貰ったか、どれだけ刺激を受けたか分からないくらい。
もうこの頃にはインターネットも普及していたし、雑誌なんて話ににならないくらいの情報が得られるようになっていた。
昔以上に、私はあなたを追い続けた。
引退までについても、ここでは省きましょう。後で少しだけ触れるけど。
引退後に、あなたがアカデミー賞を獲ったのは驚いた。引退してすぐに、違う分野に情熱を注ぎ、結果を出す。
あなたが繰り返し言っていた
『インスピレーションを人々に与えたい』
それが確実に実現しつつあると思った。
実は、私もあなたの影響を大きく受けた。
私事になるけど、私は一昨年の暮れから、起業し、とあるお店の経営者となった。
いまだに店の名前も覚えてもらえないような、小さな小さなお店。
起業をするのには勇気が必要だった。
そんなとき、私を後押ししてくれたのは、あなたのメンタリティ、マインドセットだった。
前述したけど、あなたは引退後、すぐに映像制作に情熱を注ぎ、さらに、投資にも力を入れようとしていた。
私はあなたのようになりたかった。
起業する以前の話だけど、私がいち従業員として働いていた職場が、不幸なことに、経営不振により、いわゆる『潰れる』ということになった。
私は職を失うことになる。それが目と鼻の先に迫ったとき、私と身内は、自分たちで起業をすることに決めた。
提案したのは私。リスクを承知の上だった。それに、身内も同じ会社の違う店で以前から働いていたし、潰れる直前は、一緒の店で働いていた。
その業種についてのノウハウや業者とのつながりは、ある程度あったのも大きかった。
実は私は“経営者”“店のトップ”になるつもりはなかったのだけど、身内で話し合った結果、私がトップになることになった。
私は大学も行っていないし、起業する業種のノウハウはある程度あっても、経営のノウハウや、知識はない。
それに私は人間的にも未熟で、本当に経営者としてゼロからのスタート。
だけど、私はあなたのメンタリティや、マインドセットを思い出した。
“目の前のことに全力を尽くす”
“リスクを恐れず、すべてを懸ける”
“細部にまで、こだわりを持つ”
“成功するためには、犠牲が必要”
“リーダーシップは、孤独なもの”
すべてあなたから学んだこと。
私のいる業界は、起業して1年以内に、7割が潰れるとかいう話を聞いたことがあるような業界(本当かはわからないけど)。
厳しい時期はあったけど、身内を含めたスタッフの頑張り、関連業者さんの協力、あとは運が良かったこともあり、なんとか2年目を迎え、ある程度安定してきたようにも思う。コロナウイルスのこともあるから、油断できないけれども。
あなたから学んだメンタリティ、マインドセットがなければ、今の私と店はない。
あなたは生前、特に引退後は、『人々にインスピレーションを与えたい』、と常々言っていた。
あなたにとっては、志半ば、まだまだ途中だったと思う。
だけど、少なくも私はあなたからインスピレーションを受けた。学んだ。刺激になった。
今の私と、店があるのは、あなたのおかげなんだから。
あなたが生前やりたがっていたことは叶っているんだよ。
私以外にも、あなたからインスピレーションを受けた人は絶対いるはず。
あなたの夢は、叶っているよ。安心して。
ちょっと長くなってしまったけど、もう一点。
あなたのラストシーズン、私はすべての試合をインターネットで見た。
そのシーズンで私が見たのは、敵地で、ブーではなく、歓声を受け、“ありがとう”と感謝をされるあなたの姿。
そして今年の1月。
耐えがたく不幸なことに、あなたが天国に行ってしまった時、ありとあらゆるチームの選手、ファンなど、世界中の人々があなたが天に召されたことを悲しんでいた。
その時、わたしは思った。
約17年前、世界中の人から嫌われ、私だけが応援をしていると思っていたあなたは、
本当にたくさんの人から愛されていたんだと。
私が愛したスーパースターは、みんなに愛されていたんだと。
私は、あなたのファンで本当に良かった。本当に心からそう思える。誇りに思える。
これからも私は、あなたから学び、刺激を受けたことを胸に、前に進んで行こうと思う。
あなたは永遠に私のヒーロー。
コービー、本当に、本当にありがとう。
そしてジジ。
安らかに。
【見てくださった方々へ】
読んでくださった方々、本当にありがとうございます。
実は私はまだ、コービーが天に召されたことに対し、心の整理ができていません。
なので今回のこの記事は、わけわからんことを書いてしまっているかもしれません。
ですが、これが今の私の素直な思い、心情です。
記事は2月には既に書こうと決めていました。ですが、いろいろな感情や思い出があふれ、記事が書けませんでした。こんなのは初めてです。
ですが、どこかで書かないと、いけないと思い、このタイミングで書かせていただきました。
まもなく、NBAはプレイオフに入りますが、実は私はあまり今シーズンの試合を見ることができていません。
上記しましたが、起業したので、毎日必死で働いており、試合を見る暇も余裕もないというのが現状です。
加えて、これも私事ですが、愛犬ダンクが、右後ろ足の前十字靱帯を断裂しており、まもなく手術を行います。
完治までには3カ月以上はかかるであろう手術です。しばらくの間不自由になるであろうダンクから目が離せません。
できる限りダンクをサポートしようと、家族一同決意をしています。
なので、おそらく今シーズンのプレイオフは全く見ることができません。
私のポリシーとして、“試合を見ていないのに安易に語るべからず”というものがあります。
見ていないのに、細かい部分や、出来事を語ることなどできないからです。
なので今シーズンはレイカーズについてのツイートもほとんどしていません。
仮にレイカーズがファイナルに行っても、見ることもツイートをすることもできないでしょう。
残念ですが、コービーが後押ししてくれた事業と、大切な家族の命を優先しようと思います。
コロナウイルスの影響で、NBAはもちろんですが、私たちの生活や健康にも大きな懸念が皆様にもあると思われます。
辛い時期ですが、なんとかこの危機を乗り越え、安心して生活を送ることができるよう、一日一日を懸命に生き抜いていこうと思います。
皆様も、お体にお気をつけください。
いちレイカーファンとして、皆様の健康と、チームの幸運を願っています。
最後まで見てくださり、本当にありがとうございました。
2020年8月17日 ひで